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2023/12/12

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営業

年間24棟確実に受注する営業マンの商談メソッド

この記事を書いた人

日本ビルダーズ / 住宅会社グループ代表

木越宏之輔

1979年生まれ。25歳で平秀信先生に憧れて上京し(株)インプロビックに入社。その後28歳で廣田康之氏率いる(株)子育て安心住宅に入社し住宅営業を始める。同社にて常務取締役を経て2017年子育て安心住宅&デザインラボ設立をきっかけに代表として赴任。初年度に1人で34棟/年受注。2020年(株)日本ビルダーズ特別顧問就任。

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今回は、「見学会のご予約から契約までのスムーズな流れ」についてお話しいたします。

01 土地の未所持のお客様
02 既に土地をお持ちのお客様
03 資金に厳しいお客様
3つのケースにおいて、どのように対応し、丁寧な接客を提供するかについてもお話しいたします。

 商談の回数は通常、平均して5~6回程度であり、なるべく毎週の打ち合わせを心がけています。私は、できるだけ頻繁にコミュニケーションを取るように工夫しています。見学会では、「次回はお客様のご要望をしっかりヒアリングさせていただきたい」という趣旨でアポイントを取らせていただきます。

最初の打ち合わせでヒアリングを行い、次回にはその結果をもとにプランの提案と資金計画について打合せします。土地の有無にかかわらず、この段階までは同じ進行です。

3回目の打ち合わせでは、仕様や構造に関する打合せを行いますが、時折2回目に早めに進むこともあります。

4~5回目には、資金に厳しいお客様にはファイナンシャルプランナーとの打ち合わせを行います。土地の未所持のお客様には、不動産業者との打ち合わせをセッティングします。

資金とプランが確定したら、再度プランを書き直し、説明します。お気に召していただければ、最終的なクロージングに移ります。

見学会でのアポイントの取り方についてお話しいたします。

以前は、「次回は弊社事務所で資金計画とプランの作成を進めさせていただきます」という形でアポイントを取っていました。最近では、スマート・コア・ハウスなど、小規模な住宅を提案することが増え、それに伴い費用も上昇しています。そのため、「次回はお客様の希望をしっかりヒアリングさせていただきたいです」とアポイントを取るように心がけています。

この「◯◯感」は「ワクワク感」です。これがないと来ていただく確率が低下してしまいます。たとえば、「ヒアリングの際には、事前にインスタで写真や間取りなどを保存しておいていただけると、より具体的にお話ができます。次回の打ち合わせまで楽しみにしていただければと思います」とお伝えしています。これにより、お客様は次回の打ち合わせを楽しみにしていただき、参加の確率も向上します。ヒアリングもスムーズに進めることができます。

このヒアリングを通じて進めるアポにより、プランを描く際のお客様の気持ちの入り方が大きく変わり、必ずや説明が充実し、気に入っていただけるプラン提案ができるようになります。

初回の商談の内容についてご紹介いたします。まず前回の見学会にお越しいただいたことを感謝申し上げます。初めて事務所をご訪問いただく際は、トイレなどの案内を細心の注意をもって行います。これらの心遣いが重要であると考えております。

初回のヒアリングに先立ち、弊社の理念や家づくりの基本的な考え方について、ストーリー形式で印象深くお話させていただきます。それらに触れた後に、「前回の見学会でお話ししていた通り、今回はヒアリングを進めさせていただきます」と説明いたします。

ヒアリングにおいては、詳細な事柄を細かくお伺いしてまいります。同時に、現在のトレンドについてもご紹介させていただきます。また、お客様の予算が制約される場合が増えていることから、コンパクトハウスの提案が多くなっています。その際には、「道筋を明確に描いてご案内する」ことに心を配っております。

自社が提案する家を、コンセプトとしてご紹介することを大切にしており、これが次回の見学会の場にも繋がっています。お客様の大切なご意向を尊重しつつ、建築においても柔軟かつ賢明な提案を心がけております。

初回のヒアリングでは、モニターを活用しています。その中には、以前の図面やパース、過去の施工例などが映し出されます。私自身が現在家を建てていることから、自宅の図面も投影しながらヒアリングを進めています。特に奥様方は、サイズや広さについての具体的なイメージが湧きにくいことがありますので、モニターを使用することが有益です。必要な実例が不足している場合は、その場で検索して情報を見つけるなどの手段も取り入れます。

最初に土地に関するヒアリングを行います。駐車スペースの必要台数や、庭の希望の有無などをお聞きしていきます。それを基に、次には玄関に関するお話に移ります。ここからは、細部まで丁寧にお聞きしていきます。

例えば、

「土間収納やシューズクロークはお望みですか?」
「将来的にどのようなものを収納したいですか?」
「キャンプ用品や屋外で使うアイテム、どの程度お持ちですか?」
「これまでの経験から言うと、おおよそ1.5畳ぐらいが適切ですね」
「キャンプ用品が多いので、約3畳ぐらいが希望です」

といった形でお客様の意向に共感しつつ、私自身から適切な提案を行っていきます。以前に建てた方の意見も取り入れつつ、共通点を見つけ出すことで、より具体的な提案が可能となります。

次に水回り、具体的には洗面などについてお話していきます。現在は玄関から水回りに進んでおりますが、順序についてはお客様のご都合に合わせて調整できると考えております。

また、豊橋(自社の商圏)において、最新のトレンドや適切なサイズ感についてもご説明させていただきます。

「近年では洗面と脱衣を分ける方が一般的です」
「現在の状況を考慮して、お客様がいらっしゃる際に手を洗うことが増えていると考えられます。また、洗面がおしゃれであれば、誰かに見せたくなりますよね。しかし、脱衣所が同じ場所だと、脱衣所に入ってもらうことになりますよね」
「誰かがお風呂に入っている際、洗面と脱衣が同じスペースだと気を遣うことが増えますよね」

といった具体例を交えながらお話しいたします。

その他にも、

「朝は二人で同時に洗面を利用されますか?」
「同時利用の場合、幅1200ぐらいのスペースが好ましいでしょうか?」

など、適切な提案を行っていきます。

私自身も分けたいと考えており、おしゃれなアイテムを取り入れたいという思いから、このようなアプローチをご提案させていただいております。

次に脱衣所についてお話してきます。

「生活スタイルによって、脱衣所の必要な広さは大きく変わります。」
「最近では、乾燥機を設置される方が増え、それによって脱衣所の必要スペースも変化しています。」
「乾燥機を設置するご家族は、室内干しのスペースが不要になるため、おおよそ1.5畳ほどの広さで十分でしょう。」
「一方で、乾燥機が好まれない場合、脱衣兼ランドリーとして広めのスペースを確保されるのが良いでしょう」といった形でお話しいたします。

できるだけ坪数を広げずに、予算内で収めつつ、お客様のご希望に添えるように努めてまいります。

次に階段についてお話していきます。

「基本的に2つのパターンがあります。リビングを通って2階に行くタイプと、リビングを通らずに2階に行くタイプです。」
「生活スタイルによって選び方が変わり、それぞれにメリットとデメリットがあります。」
「リビングアクセスの階段は、将来的にお子様が大きくなっても、必ずリビングで顔を合わせてから2階に上がってくれるメリットがあります。」
「一方、廊下階段にすると、お子様がいつ帰ってきたのかが分からないこともありますが、暖房効率においてはこちらが有利です」

といった内容をお伝えしていきます。

私が自ら家を建てた際は、思春期の頃にはリビング階段が好ましくなかったため、廊下階段の方が良いと考えていました。しかし、妻は将来、お子様を連れてきた際に顔をしっかり見たいという理由から、リビング階段が良いと言っていました。

これらの経験を踏まえてお客様に伝えながら、「最終的な選択はお客様の生活スタイルによりますので、お好みに合わせてお選びください」と提案いたします。ここまでで約30分ほどのお話しとなります。

次はLDKについてお話していきます。

「現在、豊橋では18~20畳程度のLDKが一般的です。」
「前回の見学会でご覧いただいたLDKの広さは、いかがでしたでしょうか?」
「もし狭く感じられた場合は、もう少し広めに考えることもできますし、逆に広く感じた場合は、少しコンパクトにしても良いでしょう。」
「最近では、キッチンとダイニングを横並びにしたいという方が増えています。アイランドキッチンにする方も多いですね。」

といった具体的なアプローチでお話しいたします。

「パントリーはお望みですか?」といった質問から、キッチンの収納ニーズをヒアリングしてまいります。一部の方は、ただ単にパントリーが欲しいと思っているだけでなく、実際にどのぐらいの収納が必要かを考慮している方もいます。プロとしては、物の収納量によって提案内容が変わるため、この段階で信頼関係を築く重要性を感じています。

さらに、キッチンなどでお客様が抱えている課題や不満をお聞きし、プロとして的確な提案を行うことで、信頼関係が一層深まるでしょう。

1階のLDKまでヒアリングが進んだら、「お客様ご自身で他に実現したいことはありませんか?例えば、書斎や趣味のスペースを作りたいといったご要望はありますか?」と尋ねてみます。こうした質問を通じて、お客様の希望や要望に応じて、信頼関係を築いていくことが可能だと考えています。

2階に移りまして、「お子様のお部屋はいくつご希望ですか?また、どの程度の広さがお好みでしょうか?」とお尋ねしていきます。その際にはCADの画面を使い、その場で変更を加えながらご提案させていただきます。

「例えば、シングルベッドを配置するとこんな感じですね。」
「現在では、4.5畳プラスクローゼットの配置が一般的で、ウッドショックで子供部屋をコンパクトにする方が増えています。」
「実家において、お子様用のお部屋が余っているでしょうか?」

といったお話をしながら進めてまいります。多くの方が「そうだったりしますね」とご納得されることが一般的です。

主寝室についても、「先行のお客様の中には『4.5畳で十分だった』とおっしゃる方も多いです」とお伝えすると、多くの方がご納得いただけ、そのようなお話を通じて子供部屋や主寝室のプランも決定していきます。

2階に関しても、お客様が実現したいことを確実にお伺いし、共感するよう心掛けております。

「ヒアリングいただき、ありがとうございます。今回のヒアリングの内容を元に、図面を作成させていただきます。この図面からは、延床面積が算出され、家のおおよその大きさと金額がお分かりいただけます。次回は、具体的なプランの提案と資金計画について詳しくご覧いただける予定です。来週のどこかで、おおよそ1時間ほどお時間をいただけますでしょうか?」という形でアポイントをお願いさせていただきます。

これで1回目の商談が終了いたします。

過去の見学会で急いで聞いていたプランは、イマイチなものが多く、事務所で詳しくプランを見てもお客様に気に入っていただけないことが多かったです。

今回は1回目でしっかりとヒアリングを行っているため、2回目にお客様に喜んでいただけるプランを提案できるようになり、2回目の商談への継続確率も高まります。

私はできる限り、お客様との接触頻度を高めるよう努めています。

打合せが進むことよりも、まず信頼関係を築くことを優先させています。

ですから、お客様にすぐに解決策を提供できない場合は、「それを次回の打合せまでに整えておきます」といった形で宿題を残すようにしています。

また、1回目の商談が早めに終わった場合は、その後に仕様や性能に関する話を進めることもあります。

1回目の商談では、土地の有無にかかわらず、打合せ内容は変更ありません。

私は敢えて土地の話には触れないようにしています。

私は家づくりのプロであり、土地の専門家ではないからです。

また、土地に関しては信頼関係が築かれた後に、不動産屋をご紹介しています。

2~3回の打合せを経て、お互いに信頼感が育まれた雰囲気が感じられるようになります。

信頼関係を築く方法については、後編でご紹介いたします。

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