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2023/12/10

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営業

セールスアナリティクスセミナー その1

この記事を書いた人

日本ビルダーズ / 住宅会社グループ代表

木越宏之輔

1979年生まれ。25歳で平秀信先生に憧れて上京し(株)インプロビックに入社。その後28歳で廣田康之氏率いる(株)子育て安心住宅に入社し住宅営業を始める。同社にて常務取締役を経て2017年子育て安心住宅&デザインラボ設立をきっかけに代表として赴任。初年度に1人で34棟/年受注。2020年(株)日本ビルダーズ特別顧問就任。

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以前からデータ分析を導入したいと考えていましたが、自身が営業を担当していたため、中々実現できませんでした。

最近、一度営業から離れ、データを収集し、それを分析し始めました。どのような出来事がデータから読み取れるかを調査することになりました。

また、優れた営業マンになるためにはどのように改善していけば良いかにも興味があり、分析を進める中で様々な気づきがあり、それを今日お話できる形に整理しました。

トップセールスマンを育成するのは確かに難しい課題です。

やはりトップセールスマンには、天性の資質が必要不可欠です。

ただ、普通のスタンダードな成績を上げるトップ営業よりも少し下の営業マンであれば、今日の内容を活用することで、その成長を促進できると考えています。

野球でも打率や防御率などのデータを取り、数字に変換し、精密な分析を通じて精度を高めています。

ただし、営業成績に関しては、数字は取得しやすいものの、それをまとめるためのデータ提供が限られていることが課題です。そこで、これらのデータを収集・整理し、表にまとめることが重要だと考えています。

正確な数字を把握することで、的確な指導が可能だと再認識いたしました。

以前は一般的に、営業マンの指導が感覚的な部分に依存していたため、「なんでできないんだ?」や「もっと気合いを入れろ!」など、具体的な指導が難しかったと考えています。

同様に指導を受ける側も、「わかるけど…」と感じつつも、「どうしたら良いかわからない」という状況に陥っていたでしょう。

指導者と受け手の思いにズレが生じ、結果として成績が伸び悩んでいた営業マンが多かったと思います。

しかし、数値化することで指標や基準が生まれます。例えば、「接客の時間」を測定してみました。

豊橋には西浦というトップ営業がいます。

今回ご紹介する杉浦という営業マンは、今年に入り成績が向上しており、現在は決して不調な営業とは言えませんが、かつては改善の余地があるとされていました。

両者の接客時間を比較してみると、杉浦の接客時間は30分以上も長かったことが明らかになりました。

ただし、私が「杉ちゃん、打合せの進行はどうだった?」と尋ねると、「いやー、お客様と結構盛り上がってますよ」との回答があります。

おそらく、杉浦は盛り上がっていると感じているだけで、実際には時間がただ流れ、本質的な内容に触れていなかったようです。

また、西浦よりも提案したプランの回数が多かったとのこと。

これらの要素を計測することで、お客様が満足するプランを提案できているかどうかが数字で確認できます。

これはまるで血液検査のようで、糖尿病の可能性や肝臓の数値がわかるようになります。

数字を通じてこうした要素が明らかになるため、指導も効果的に行え、感情に頼った指導が減少します。

現在、問題視されているパワーハラスメントや企業の営業部長などが「なんで成績が取れないんだ、馬鹿!」などと暴言を吐くことも減少します。

これにより、企業の雰囲気も改善され、怒りっぽい指導者も減少することで、成績も向上し、好循環が生まれます。

このデータ分析法を導入した際、一番の目的は何だったかと言いますと…

集客をして、「この会社は良いかも!」と思って見学会に足を運んでいただいたのに、途中で他の企業に流れてしまう事態を回避したかったのです。

これは営業マンが不快な印象を与えてしまう場合があることを指しています。ダメな営業マンの打合せの進行やコミュニケーションスキルが原因で、お客様が帰ってしまうことがあります。

スタッフ一同が一生懸命に見学会を開催しているのに、そのような努力が水泡に帰してしまうことは残念なことです。

従って、細かな点を修正し、問題の原因を徹底的に追求することが必要だと感じていました。

数字に変換すると、営業マンも言い訳が通用しづらくなります。「打ち合わせがダラダラしている」という主観的な表現から、「打ち合わせが40分長い」と客観的な表現に変わるだけで、印象が大きく変わります。

 このセールスアナリティクスを活用してから、杉浦は年間9棟から年間16棟の受注を得るようになりました。効果が非常に明確でした。怒ることなく、冷静に「数字はこんな感じ。では、こう進めましょう」と的確に指導した結果です。

 結局トップ営業マンの数字に近づけていけば、トップ営業マンに近づいていくと言えます。簡単に言えば、そういうことなのです。

まずアナリティクス表をご覧いただく前に、私自身がこの分析を通じて気づいたことについてお話しいたします。

最近、様々な場面で経験を積んでいます。また、様々な営業マンとの対話もあります。

最近考えていることを共有させていただきます。

少々厳しい表現になりますが、弊社の成績が伸び悩んでいる営業マンは、率直に言ってしまうと戦略の欠如を感じます。

将来を見据えた計画が不足している印象があります。比較的に考えが短絡的で、トップ営業マンとの差が顕著です。

例えば、「年間の受注数が15棟!」という目標を掲げる営業マンもいますが、その目標を単なる達成目標としているように感じられます。目標を達成することが目的になっており、それが優先されていると、目標以上の成果を上げるのは難しいでしょう。

こういった目標を掲げる人々は、残念ながら目標達成に至っていない傾向があります。目標に辿り着くことが難しいのは、これらの理由によるものです。

実際に目標まで到達している人を見たことがありますか?売れる営業マンは、「目標をクリアするのは当然」という姿勢を持っています。彼らはいつも「その先をどうしようか」「何棟までいこうか」と考えています。その考えが表現されている言葉にも感じられます。

対照的に、売れない営業マンは「15棟達成するぞ!」という意気込みだけが強調されています。また、数字を把握していない傾向が見受けられます。例えば、「今週、商談がいくつあったか?」と尋ねても、「2~3件かな?」と曖昧な回答が多いです。中には契約数ですら明確に把握していない営業マンもいます。これに対して、売れる営業マンは迅速かつ正確に答えます。

さらに、わずかな成果でも営業マンの成績が上がれば、収入が増えると思います。売れない営業マンは収入が上っても、すぐに余暇に浸る傾向があります。お金の遣い方が慎重でないと感じられ、時折不安を抱くこともありますが、これも一因かもしれません。

西浦についてですが、最初の頃、給料が少し上がってきた際でも、彼は飲みに行くことはありませんでした。

その代わりに、より良い靴やスーツを購入し、本を買ったり、自己投資に努めていました。こうした点が目に見えて異なっていました。

西浦は昨年30棟、今年は6月までで13棟を成し遂げ、なおかつ昨年よりも粗利を2割も向上させるというチャレンジを続けています。

彼はいつも清潔感ある身なりを心がけ、最近も営業のために高品質な靴を購入していました。そのため、成績の芳しくない営業マンがいる場合は、お金の使い方について指導するべきだと思います。

これだけでも意識が変わり、結果として成績も向上することでしょう。

売れる営業マンは、当たり前の基準も非常に高いです。彼らは「どのようなプレゼンテーションが受注につながるか」といったことに考えを巡らせています。さらに、目標を達成するだけでなく、その先に挑戦し続けています。

また、売れている営業マンは積極的にインスタグラムを活用しています。家族やお施主様との関係、食事に至るまでをアップし、フォロワーが約1,200人と、営業マンとしてはかなり多い方だと思います。

西浦の打合せ回数や打合せ時間が短い理由は、ここにあると考えています。お客様も西浦のインスタを見て、「こういう人なんだ、絶対に悪い人ではない」と感じ、信頼関係を築くまでが短いのだと思います。

杉浦も西浦を見習ってインスタに力を入れています。去年はフォロワーが約200人ぐらいでしたが、昨日見たら800人ほどに増えていました。売れる人は、自身なりに努力をしていることがわかり、数字でもその成果が表れている瞬間でもありました。

営業マンは個人のインスタを開設すべきです。これにより、お客様との距離が迅速に縮まり、商談が減り、円滑に進展するようになります。

データの解析や本人へのヒアリングを通じて、「これはなぜなのか?」という問いに丁寧に向き合っていったところ、売れない営業マンの課題が浮かび上がりました。それは、アポへの意識がとても希薄であることです。アポがなければ契約は成立しないという自覚が薄すぎました。

さらに、集客単価についても理解が足りていませんでした。営業マンは、一組のお客様が自身の前にいらっしゃるまでに会社がどれだけの費用をかけているかを全く把握していませんでした。

現在、集客単価が上昇しているため、たとえば10万円が掛かっている場合は、「その10万円、自分の資金でやってみなさい」という話になるのです。

今では、豊橋のチーム全体が参加するミーティングで、集客単価について話し合っています。見学会においてかかる費用や、1つのアポを獲得するためにどれだけの費用がかかるのかを、全員が頭に留めています。

売れない営業マンはアポ単価が増加しているため、その厳しい現実に直面し、自ら努力しようとする気持ちが芽生えていくと考えています。

売れていない営業マンは、身だしなみにも気を使っていなかったようです。

見学会の準備が整っていなかったり、汗をかいたままで接客していました。

お客様が一生に一度の買い物をしようとしているときに、そんな営業マンに接客されると、その人から買いたいとは思わないでしょう。

また、お客様からの質問に対して適切に答えていなかったようです。

見学会の魅力やこだわりなど、お客様がまだ興味を持っていない段階で、自ら伝えたいと思って先に伝えることばかりで、お客様との会話が成立せず、コミュニケーションが取れなくなってしまっていました。

そして、お客様の言葉をそのまま受け入れてしまうと、アポイントメントが難しくなることがありました。

「家を建てるのはまだ先なんです」と言われたとしても、絶対にアポを取らなければなりません。

まずはせっかく自社の見学会に来てくださったからには、何か役立つ情報をお伝えしないとお客様に失礼です。

何を言われても、「あ、そうなんですね。 ちなみに今日見ていただいて、このリビングとか良いというお客様がいらっしゃったのですが、どう思われますか? ○○さん」と切り返して会話を広げていくのです。

杉浦にこのあたりを指導していった結果、売れる営業マンに変わっていきました。

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