2023/12/23
分析
モチベーションアップ その1
お施主様が最終的に貴社を選ばれた理由についてお聞きします。いくつかのポイントが挙げられていますが、それはおおよそそのような回答だったでしょうか?また、お施主様が言葉にできる理由だけでなく、文字にできる理由も御社を選ばれたのでしょうか?
私の経験上、最終的にBを選んだ理由が「なんとなく」だったんです。これは少し悩ましいですよね。お施主様たちがなぜ「なんとなく」の理由で工務店を選ばないのか、ご理解いただけますでしょうか?
最終的には、直感的であり、感情や感覚に基づいた判断が多いことが明らかになりました。これはまさに、家を購入するといった経済的な意思決定に関わる要素です。
1000万円の住宅に対して40万円のオプションの方が、100円に対して40円よりも影響が薄いと感じることがあるかもしれません。価格には感情のバイアスが影響しています。人は合理的に決断していると錯覚しているだけなのです。
実は、前述の2つの理論から派生したのが「顧客満足度」です。ただし、日本企業では取り組んでいるように見えますが、感情に基づく経済的意思決定の把握がまだ曖昧なままです。これには危険性を感じませんか?
お客様は突然にして満足度を形成するわけではありません。何らかの原因があって初めて、満足されるのです。この図は誤りがあると言えます。
企業とお客様が触れ合うあらゆる機会、つまり「接点」を通じてお客様は満足度を感じます。
工務店については、皆さんに感情のバイアスがかかりやすいですね。まるで皆さんがレストランに行った気分になって、紹介していきましょう。これらはありとあらゆる機会や接点での体験になります。ここでは、分かりやすくするために、わざと良くない方向で書いてあります。
お客様は様々な印象を受け、12番目でようやく料理が評価されるポイントにたどり着くことができるでしょう。
ここで重要なのは、お客様の五感すべてが対象となるということです。
2つめのポイントは、皆さんも経験があるかもしれませんが、お客様が1つ1つの接点をあまり自覚していないということです。無意識のうちに、小さな不満がたまっていくことになるんです。
3つ目のポイントです。最終的な満足度は接点の総合点で決まりますが、1つでも大きな問題があると満足度は大きく下がります。これは提供している商品の良し悪しに限らず、適用される原則です。
人間は、経済的な意思決定において、直感や感情・感覚が重要な役割を果たします。感情のバイアスが必ず影響しています。そのため、あらゆる接点が重要なのです。
ここで、工務店についてお話しします。丸をつけた部分、すべての接点を把握し、細かい点に気を付けていますでしょうか。お客様の五感を意識して、秋の商戦に向けて検討してみてください。
工務店の場合は、レジ係を皆さんの従業員さんに変更してみてください。
表情、服装、言葉遣い、態度、あるいは体臭などに気を付けることが求められるのではないでしょうか。
これを踏まえて考えると・・・
社長さんと約10人ほどの従業員の方々との接点は、どちらがより頻繁でしょうか?
おそらく従業員の方々だと思いますね。
また、それに基づいて考えると、社長さんは明るくて紳士的な方が多い印象です。
ただ、逆に従業員が暗い雰囲気で、やる気が乏しい場合、どうなるでしょうか?
それは顧客満足度に悪影響を及ぼす可能性がありませんか?
ですから、従業員のモチベーション向上(Employee Satisfaction)が非常に重要なのです。
顧客満足度を向上させるためには、ますますまず従業員のモチベーション向上が必要であり、ここを怠ってしまっても、顧客満足度向上には本質的な効果が期待できません。
私たちが最も重要に考えなければならないのは、
顧客との接点での体験
この体験を向上させるためには、従業員のモチベーションが最も重要な要素です。
では、従業員モチベーション(ES)を向上させるにはどうすれば良いでしょうか? そのためには、良好なコミュニケーションが鍵となります。これは具体的にどういったことを指すのでしょうか? 良好なコミュニケーションを築くためには、具体的にどのようなアプローチが効果的なのでしょうか? これらについては、次のセクションでお話しします。
ネットで検索すると、コミュニケーションは言葉のやりとりなどと説明されていますが、本当に言葉が不可欠なのでしょうか?
コミュニケーションの意味を理解していただくために、先ほど話した女の子のエピソードを挙げます。お父さんが寝ているのを見つけて、「いたずらしようかな?」と思っているようです。では、この後、女の子はどうするでしょうか?
お父さんがしっかりと寝ているか確認しているようですね。計画が丁寧に進められているようですね。
この子はお父さんを驚かせようと、「バー」と声を出したようです。
お父さんは「ワーオ」と、一体何が起こったのか驚いて起きました。娘さんは「やったー」という得意げな笑顔で、満足そうな顔をしています。
お父さんは「仕方ないな~」という見守るような笑顔で娘さんを見つめています。この写真からは非常に良い家族関係が伝わってきますね。では、この後、お父さんはどうするでしょうか?
お父さん、寝たふりをされるんです。なぜ寝たふりをするのか、皆さんもおわかりですよね。この後、娘さんがどうするかを考えれば答えが見えてきますね。
先ほどと同じように、「バー」と驚かせるんです。そうすると、この後のお父さんの様子も想像できますよね。
再現ですよね。「びっくりした!」というように起きるんです。娘さんは同じようにしてやったり顔をして満足しています。お父さんはやさしく包み込むような笑顔で見守っています。
これらを、音は一切なし、静止画で説明しました。そうなんです。コミュニケーションは言葉がなくても成立するんです。
言葉は不要、ということを言いたい訳ではないのですが、コミュニケーションは言葉がなくても成立するのです。
良好なコミュニケーションとは、相手の気持ちを共有することです。挨拶されてムスッとしていたら相手が嫌だろう、では、どうしたら良いのかを考えるのがコミュニケーションの要点です。
そうなんです。「気持ちの共有」こそが良好なコミュニケーションの本質ですので、常に心に留めておきましょう。
では、良好なコミュニケーションを築いていく方法について、ここからお話ししていきます。
こんな話に進んでいく前に、「ただ量を増やすだけで効果があるのか?」という疑問を抱かれた方もいらっしゃるでしょう。
量の増加は効果的です。CMも同じことの繰り返しですよね。つまり、効果的であることを知っているために、大手企業はあんな高い費用を払ってCMを打っているわけですね。
では、私たちはどうしたら良いのか、それがこのスライドにまとめてあります。同じようにお施主さんにも取り組めば、良好なコミュニケーションがとれ、お施主さんの満足度は上がっていきます。
質の高いコミュニケーションは信頼関係と比例します。ということは、あの親子は極めて高い信頼関係が築かれているということなのです。
実はこれは、医学的にも証明されています。信頼関係の築かれた医師と患者さんの場合、医師から「この手術をしたらかなり良くなります!」と言われ、ちょっとだけ傷口をいじるだけで、ほぼ治ってしまう(全く関係ない施術で)ということが起きたそうです。
では次にコミュニケーションの質についてお話しします。「どんな話をしたら良いのか?」と考えがちですが、そうではないんです。
自分が話すのではなく、深く聞く、傾聴することが重要です。
精神科医の世界的な権威は、「生きていくために、食事以上に必要」と述べており、傾聴は大事な生きていくための手段なのです。
日本は3段階目までは満たされています。このため、4段階目への欲望が強くなります。だから傾聴が重要になってくるのです。
傾聴についてまとめています。部下の方々に傾聴できていない場合は、考え方を改めましょう。
傾聴の具体的な方法についてです。聞くということだけでなく、態度や表情も重要になってきます。
また、同意の相槌が重要です。仮に違うな、と思っていても否定はNG
だと心づもりしてください。こんな言葉を使うと良いでしょう。
また、オウム返しも重要です。ただ完全に同じ言葉を使うと、嫌味に受け取られることがありますので、語順を少し変えるなど工夫すると良いでしょう。
オウム返しは、安心感を与える上で非常に重要な要素となります。
与えられたことへの感謝を伝えることで、信頼関係が築かれていきます。
このようにコミュニケーションをとっていくと、相手も話そうと思ってくれるでしょう。その後、しっかりと相手の話を聞いてあげてください。
工務店でのお客様の声として、上記のような意見がよく寄せられます。お客様への傾聴が不足している場合は、今回ご紹介した傾聴の方法を活用して改善していきましょう。
良好なコミュニケーションについては理解いただけたかと思います。次にこれがモチベーションアップにどう繋がるのかや、モチベーションアップの具体的な方法については、パート3でお話しいたします。