2023/12/23
営業
打合せ時間を短縮し、満足度を上げ、 さらに物件価値をも上げてしまう2
瞬時にお施主様の心をつかむ提案についてお話しします。
①お客様を理解すること
②押し付けず、売り込まないこと
ベテランになると誘導が難しくなることもありますが、無理に押し付けることは避けるべきです。
③期待を超える提案
最初から全力を尽くすと、後半で余力を出すのが難しくなります。予想を上回る提案をするためには、最初から余裕をもって進めることが重要です。
④キラーワードを見つける
得意な言葉を持っておくと、お施主様の心をつかみやすくなります。
お客様を理解するためには、質問、傾聴、観察が重要です。
お客様の家族について理解する
年齢やお仕事だけでなく、間取りや住宅設備の提案に関するヒントがそこにあります。
趣味
お客様ごとにこだわりがあり、そこにヒントが潜んでいます。
ライフスタイル
価値観や人生観に関するヒントが現れます。
ファッション
雑貨、車にはインテリアスタイルのヒントが見つかります。
まずはこれらの4つに焦点を当て、お客様のことを知ることが大切です。
家族に焦点を当てる際の、具体的なポイント
赤ちゃんのいる家庭
ベビーカー置き場やベビーベッドの配置を考慮する必要があります。
幼児がいる家庭で
さまざまな要素が浮かび上がります。おもちゃの収納場所、安全性を確保する場所、子供が学習や創造活動を行うスペースなど、これらがヒントとなります。
学生がいる家庭
最近ではオンライン授業が主流となっているため、Wifi環境まで考慮することが重要です。
高齢者がいる家庭
バリアフリーな環境や膝を痛めない浴室設備、高齢者に優しい間取りなどを考えることが大切です。
サーフィンを楽しまれる方がいれば、ボードのラックや屋外でシャワーを浴びるブースなどの要望があります。
奥様のご要望では、対面キッチンや大きなパントリーなどがお好みのようです。
こうしたニーズに対して提案できる機会がありますので、覚えておくと良いでしょう。
最近のライフスタイルには、ミニマリストやスローライフ、ノマドワーカー、SDGsなどがあります。
これらの方々に最適なインテリアや間取りについてのヒントが得られるでしょう。
ファッションや車などは、購買層によって異なります。
ブランドに敏感な方は、ラグジュアリーやレジデンシャルなどがキーワードとなります。
一方で、MUJIやIKEAを好む方には、それぞれの好みが存在するでしょう。
こうした嗜好には、インテリアスタイルのヒントが潜んでいます。
「休みの日にどこに買い物に行かれますか?」という質問は非常に重要です。お客様が訪れる場所には、好みのヒントがたくさんあります。
また、乗られている車はご主人様の好みが反映される場所です。ヒントがあるので、探っていくと良いでしょう。
次に重要なのは、押し付けない態度や売り込まないスタンスです。
自分の価値観を押し付けない
プロとして導きたい気持ちは理解できますが、現代の多くの方には通用しないことがあります。
専門用語を使わない
私も使いがちですが、過度なカタカナ語の使用は控えめにする方が良いです。
過去の文化や伝統にこだわり過ぎない
私の親戚が宮大工に嫁いだ経験がありますが、その家庭では「こんな柱を使わなければならない」といったこだわりがありました。しかし、お客様の視点からすると、「そんな柱はいらない」と思うことがあるため、こだわり過ぎない方が良いでしょう。
しつこく追求や催促しない
現代の世代には適していない手法です。
具体的な例としては、「絶対に~」といった表現は押し付けがましく感じられるので、「参考までに~」とお伝えする方が良いでしょう。
専門用語を避ける点でも様々な配慮が必要ですが、ミリなどの表現はセンチメートルで説明する方が良いです。お客様が「○○ミリって、何センチ?」と思うことがあるからです。
「以前はこうでしたが、今は~」といった過去の文化や伝統にこだわり過ぎないことも大切です。
「まだですか?」などと急かすのは避けるべきです。
ジープのディーラーさんから「ジープは汚れるぐらいがカッコいいです」という話を聞いて、この車を提供してくれる方から購入したいと感じました。
「その方から購入したい」という印象を与えられるような表現を心掛けることがおすすめです。
言われた通り、要望通りの提案は誰でもできます。
わずかながらもプラスαの提案ができると、お客様が喜んでくれたり、心をつかむことができます。
クロスの見積書がある場合は、クロスの画像を添付するなどして、単なる文字の見積もりとは異なる印象を与えることができます。
こうしたプラスαの工夫ができると、差別化が図れます。
キラーワードとは、相手の心を引き付ける決め手となる言葉のことです。
見つけるのはなかなか難しいですが、もし見つけることができれば、瞬間的にお客様の好感度や信頼度が上がり、その後の打合せや人間関係がスムーズに進むでしょう。
私の場合、ジープのディーラーさんからの言葉がそれでした。
具体的な会話を通じて、お客様からの好感度や信頼度が一瞬で向上します。
こういった言葉の引き出しを持っておくと良いでしょう。
選択肢を絞る方法は2つあります。
①お施主様ご自身で絞り込んでいただく
②私たちがプロの視点で絞り込む
お施主様ご自身で絞り込んでいただくには、メーカーが提案するスタイルをご紹介し、「このスタイルの中で好みのものはございますか?」とお尋ねしていきます。
お客様が自ら選びたい場合、メーカーのシミュレーションツールを利用して具体的なカラーコーディネートを行うのも一つの方法です。
ドアの色などが瞬時に変化します。
このシミュレーションツールはネット上で無料でご利用いただけます。
ここから本題に移ります。
プロとして、こちらが主導し、絞り込んでいく手法があります。
1つ目はヒアリングシートです。
多くの会社が採用している手法でしょう。
初期段階で家族構成や趣味、ライフスタイルについてお伺いすることで、初期提案がスムーズに進むでしょう。
会員様にはヒアリングシートのサンプルをご提供しています。
こちらが主導し、絞り込んでもらう方法のもう1つの手法です。
メーカーのプレゼンテーションボードをそのまま提供するのではなく、インテリアスタイルに合わせた色を抽出する手法です。
30種類もあると、この時点で打ち合わせが長引く危険性があります。
ヒアリングで得た情報をもとに、根拠を持って絞り込むことがベストです。
時間に余裕のある方は、
① メーカーが提供しているインテリアスタイルをそのまま活用する
② そのスタイルに適した施工事例やインテリアの写真を紹介する
③ その隣にキッチンのコーディネートとして、「この3パターンならば合うのではないでしょうか?」という提案書を作成する
と良いでしょう。
お施主様は3つの中から選ぶだけなので、混乱することなくスムーズに進むでしょう。
クロスを選んでいただく際、何百ものクロスが詰まった分厚いサンプル帳をお施主様に渡しても、どれが適しているのか分からず、思いがけない方向に進んでしまうことがあります。
そのため、プロの視点から適切な選択肢をピックアップし、サンプルを提案することで、決定がスムーズになり、打ち合わせも短縮できます。
インテリアスタイルのベースを持った上で、プロの知識を活かして選び、お施主様にご提案いたしましょう。
こだわりの少ないお施主様には、建物全体のコーディネート提案書を作成すると良いです。
通常、プランボードをめくるたびに、お客様がどの要素を選んだのか、どのように選んでいくべきかがわからなくなることがあります。そのため、建物全体をコーディネートすることで、プロとしてストーリー性と連続性のある提案が可能です。
玄関ドアのハンドル選びはお施主様におまかせする必要がありません。
外観のスタイルが既にお好みで決まっているからです。
初めからパターンを提示しないほうが良いでしょう。
カップボードも出筋のものだけを見せると良いでしょう。
最近は一般的になってきました。
お客様の好みを把握するために、最初に「SNSから気に入った施工事例を持ってきてください」とお願いしています。
“おしゃれ キッチン” などと検索したものを持ってきていただき、それを元に提案を行います。
この方法により、大きなミスを避けることができます。
ただし、ツイッターには過激な発言やネガティブな意見が含まれることがありますので、お客様には注意してご利用いただくことをお勧めします。
打ち合わせ時間が長引きがちな方へのアドバイスとして、「最初に」その日の打ち合わせの目的とゴールを明確にしておくことが良いです。
サッカーを例に挙げると、前半45分はこれ、休憩10分挟んで、後半はこれを決める、アディショナルタイムで◯◯の確認をしましょう、と戦術を明確にするのです。
話が逸れやすい方は、逸れそうならそれを我慢してもらうように心がけましょう。
標準仕様を見せるつもりが、良い仕様のものを見てしまい、がっかりさせてしまうことがあります。
全てが全てNGというわけではありませんが、予算が厳しいお客様はがっかりすることがありますので、お客様にはショールームを訪れていただく際には注意が必要です。
サンプルや資料が全て揃っていれば、逆にショールームを見せなくても十分です。提案資料の充実を図ると良いでしょう。
「フェミニンな空間」と言われても、男性のコーディネーターさんだと迷うことが多いと思います。
苦手な分野であっても、女性雑誌やSNSで学び、ライフスタイルに共感して提案することが大切です。
シーンごとに、生活スタイルや価値観が変わりますので、変化に対して共に考えることが大切です。
皆さんは理解していると思いますが、意外と現場でこれを伝えていないこともあります。
「赤ちゃんが小さいときは、ベビーカーはここですね」という話はしますが、将来的にどう変わっていくかも、きちんと計画を立てていきましょう。
お客様が設備などで迷われることがあると思います。
その際の判断基準は、「どうしても欲しい」か、「あったら便利だな」というニーズで選んでもらうと良いです。
また、「あったら便利だな」は「なくても問題ないか」と深く掘り下げていくと良いです。
どうしても欲しい場合は、最終的にはその点にこだわるべきです。
これは後々の「こんなはずじゃなかった」というトラブルを避けるためにも、事前にしっかりとヒアリングしておくと良いです。
新築住宅において不要な設備の選定に関するアドバイスがあります。
このようなアイテムをお施主様にも確認いただき、判断の材料としてご活用いただくと良いです。
微妙な選択肢も存在し、たとえば、ベランダが3~4箇所ある家や全館空調の家では、浴室乾燥機は不要と考えられるかもしれません。
また、食洗機は使用価値が高いとされ、オプションの中で特におすすめされるものですが、必要性はお施主様によるところが大きいです。
プロとしては、本当にお施主様にとって必要なものかどうかを慎重に見極めていくと良いでしょう。
これは建具によく用いられるテクニックです。
右側の高級そうなハンドルに変更するだけで、ドアが高級なものに見えるようになります。
数千円でこれほどの変化が得られるため、テクニックとして覚えておくと良いでしょう。
玄関周辺はお客様が訪れる場所であり、ここを変更して目を引く一方で、2階の寝室は標準のままにするといったアプローチも考えてみると良いでしょう。
コストダウンの具体例を挙げていきます。
浴室のミラーについて、横長ミラーと縦長ミラーは毎年のトレンドが変わります。
広がり感があるのは横長の場合で、その差額は2万円ほどです。
ただし、浴槽の側にはミラーは必要ないと考える方もおられます。
サッシも同じサイズであっても使い勝手や見た目が変わります。
その差額は約4万円ほどです。
変更せずに他の用途に4万円を使うという選択も検討する価値があります。
トイレにおいてもコストダウンの余地があります。
1階と2階のトイレの仕様を見直します。
お客様があまり使用しないとされる方のトイレは、グレードを下げることを検討してもよいというアプローチです。
テレワークスペースが必要だと言われた場合、造作のカウンターを導入するだけでは終わってしまってはいけません。
差別化を図るなら、WiFiルーターの配置や配線、コンセント、照明、椅子などについても提案していきましょう。
本棚を提案する際は、親や子供で本の高さが異なることを考慮し、棚の高さに関する提案も行うと良いでしょう。
差別化にはコストをかける方法もありますが、コストをかけなくてもお施主様が喜ぶ提案を行いましょう。
この提案が物件の価値を向上させ、他社との差別化に繋がります。
私がおすすめする提案をリストアップしておきますので、頭に入れておくと良いでしょう。