2023/12/23
営業
小さい家でもかっこよく造る 「3ステップ設計デザイン手法」その1
もともと、「かっこいい」とは具体的にどのような意味なのか、その点を再考する必要があると感じました。実際、大手ハウスメーカーであるからこそ、どんな人でも満足できるようなスタイリッシュな住まいを提供できるわけではなく、その結果は個々の手腕に依存します。
例えば、「安藤忠雄氏ができるけれど、◯◯さんには難しい」といった差異は、大きくは個々の能力に左右されています。営業においても同様で、全てが人の手によって成り立っている部分があります。10の課題に対して全てが解決できるわけではなく、しかし3の人ならばそれを6にまで引き上げることは可能だと考えます。
しかしながら、その先に進むには才能や向き不向きが絡むため、難易度が上がります。この点においても、大手ハウスメーカーは3年目や7年目の研修を実施して、均質性を追求しています。こうした取り組みによって、初めは3のレベルから次第に6や7に到達できるようになることが期待されます。今後は、この側面に焦点を当てていきたいと思います。
この問題を見抜ければ、解決策も見つかります。
単に「かっこよくするには」と漠然と考えるよりも、根本的な部分を理解すれば、全体がドミノ倒しのようにうまくいくはずです。
今回、それを様々な角度から探求してみました。
まず代表的な建築家である安藤忠雄氏が手がけたとしても、それだけで必ずしもかっこよくなるかどうかを検討していきます。
これは、安藤忠雄氏による有名な作品である「住吉の長屋」です。
具体的な延床面積は確かに約20坪ほどです。
制作はかなり前のものであり、現在の基準には適さないかもしれませんが、解体費用を含めて約1,100万円かかりました。
このプランでは、中庭を通して天井が開放的になっています。
「これを作ってください」という要請ではなく、むしろ参考として考えていただきたいと思います。
方法によっては、真似できるポイントがいくつか存在します。
工務店の皆様がどのようにしてこれを真似していくか、その手法やポイントを理解していただければと考えています。
したがって、皆様が「小さな家はかっこよくなりにくい」と感じているだけで、意外とそれは特定のパターンに縛られないものであることと、私は思っています。
住吉の長屋の内部は、このような構造になっています。
吹き抜けのエリアやテラスなどがあります。
見ている通り、上に見えるのは渡り廊下で、キッチンに行くには、リビングから外に出てスリッパを履く必要があるというプランとなっています。
このようなデザインを取り入れるかどうかは別として、参考になるポイントは積極的に取り入れていきましょう。
あとは、「ハウスメーカーにおいて、大きさに関係なく、それなりに均一に良いデザインが提供されているか?」という点が重要なのではないかと考えています。
その理由について、「社内での教育があるから」とお伝えしましたが、どのようにすればスタイリッシュになるかは、単に教えるだけでは覚えにくいものです。特に、設計士が語ると理解しにくいこともあります。
大手ハウスメーカーでは、選択肢があまり多くない傾向があります。例えば、サッシや外壁においても3つぐらいのパターンしかありません。
この3つのパターンの組み合わせ方を指導する形です。それに合致しない場合は、検査が行われます。
そのため、迷う必要があまりなく、どの組み合わせでも、一定のスタイルになるように、社内の選択基準や標準仕様が整備されています。良し悪しやメリット・デメリットはあるかもしれませんが、ともかく。
それに加えて、設計においては特定のルールが存在します。これに従えば、家のサイズや価格にかかわらず、一定の水準で洗練されたデザインに仕上げることができると思います。
まず始めに、「かっこいい」とは一体何を指すのか、という点です。
これについては、以前私のセミナーや勉強会にご参加いただいた方はおそらくご存知かと思います。
改めて振り返ってみることができればと考えています。
小さな家であろうと大きな家であろうと関係なく、どなたでもスタイリッシュにレベルアップできるためには、まずこれらの5つを理解することが必要だと考えます。
①引き算
これは日本のデザインの特徴です。
②誰もが一定以上のデザインを実現できるルールの確立
これは工務店ごとに異なる部分もあるかもしれませんが、本質的な部分は統一することが効果的だと思います。
地域性や会社のカラーに合わせてアレンジする余地もありますが、本質的な部分は限られているため、それにフォーカスしたいと思います。
③サッシの組み合わせ
Googleで「コンビネーションサッシ」などと検索すると、サッシの組み合わせに関するゴールデンルールが見つかります。これによって、特定のサッシ同士の組み合わせがスタイリッシュに見えるという法則が存在します。今回は、いくつかのパターンを紹介できればと考えています。もちろん、既製品で実現できるものです。
④外観からプランを立案する設計手法
これは今回のセミナーでは難しい部分です。別の機会に触れることができればと思います。
⑤でき上がったプランや提案資料をどのように伝えるか
最終的にはこの5番目が非常に重要だと考えています。知識が豊富でも、営業マンがそれをどのように伝えるかによって、結果が変わります。例えば、7の物を作ったとしても、伝え方によって5になったり、3から5に引き上げたり、伝え方で7になる場合もあります。こうした巻き込み型の提案法についてもお伝えします。
これらはすべて実践してきた経験から導き出されたものであり、大手ハウスメーカーで13年かけて築き上げた成果物をお見せする機会はそうありません。是非、ご参考にしていただければ幸いです。
まず、小さな家や予算の制約がある家でも魅力的に仕上げるための初めのステップとして、「デザインは基本的に引き算」が挙げられます。
これについては、おそらくイメージが湧くでしょうが、引き算とは要するに、不要な要素を取り除いていくというアプローチです。
無駄なものの一例として挙げられるのは、「フレーム」です。
現在、ZOOMに参加されている方々の中には、パソコンを使用されている方も多いかと思います。
昔のパソコンは縁が大きかったと記憶しています。
それが今では、かなりスリムになりましたね。
また、昔のiPhoneにはフレームが存在していましたが、現在ではホームボタンもなくなりつつあります。
工業製品やプロダクトデザインの分野では、こうした傾向でフレームレスに進化しているようです。
例えば、サッシにおいても、最近ではフレームレスサッシが登場しています。
左側のように、枠がなくなるだけで、非常に新鮮で斬新なデザインに映ります。
ただし、これには高いコストがかかります。
したがって、「外壁が見える側だけに活用する」というアプローチが重要になります。
こうして良いアングルで写真を撮れれば、「この家がこの価格で建つなんて!」といった印象が生まれるでしょう。
デザインにおいては引き算の概念が重要だとお伝えしましたが、それを具体的な例で示します。
右上の写真は、中東の王様がアメリカの大統領を訪れた際のものです。
右下の写真は、天皇陛下の訪問時のものです。
この2枚の写真が同時に発表された際、それによって世界が騒然となったことは広く知られています。
「装飾が多ければ多いほど良い」というのは欧米のスタイルで、これは足し算のデザインです。
対照的に、日本ではできるだけ無駄なものを省く引き算の考え方があり、これによって主役を際立たせることができます。
障子も大いにフレームレスなものに進化しています。デザイン性は引き算の積極的な採用によって向上します。
後ほど詳しく説明しますが、玄関ドアを見えなくするだけでも大きな変化があります。
玄関ドアが見えないようにするためには、どのように設計すれば良いかを考えることで、デザイン性が向上します。
このような写真を営業の際にご紹介し、「シンプルが非常に重要であること」をお客様にお伝えすると、営業マンとしての信頼度が向上することでしょう。
話のトピックとしてもご活用いただければと思います。
私がリトアニアで建築家として声をかけられたのも、私のデザインが日本らしく、引き算の要素を含んでいたからです。
海外の方々から見れば、日本のイメージは下の写真のようなものとなるでしょう。
次にお話するのは、「誰でも一定以上のデザインになるためのルール作り」です。
デザインは基本的にシンプルであるべきという考え方です。私はこれをセミナーや勉強会でお伝えしています。
これらのルールに従って制作することで、どのような結果になるかについては、次のページでご紹介いたします。
D’Zホールディングスの新入りである中馬さんが、私の勉強会に参加して1年目にして初めてプランを手がけました。ある一定の原則に従えば、構造上の若干の問題はありますが、未経験者であっても立派なプランを作成できるようになります。中馬さんはその後、年間12棟もの実績を上げ、営業のプロとして成長したとのことです。
実際には、受け入れられるデザインが存在します。
これはiPhoneやユニクロのようなデザインであり、これはプロダクトデザインや商業デザインとして知られています。
これらは売り上げを促進するデザインとして構築されています。
対照的に、アートと呼ばれるものも存在します。
こちらは売れ行きを考えず、自身が表現したいものを形にするアプローチです。
これは作品を生み出すといったイメージを持っています。
現在、注目を集めるデザインはシンプルなものです。ただし、「シンプル」には明確な定義が難しいものです。単純に物を減らすべきか、ミニマムなスタイルが良いのかは、人それぞれ異なります。一番近い概念は「断捨離」かもしれません。要らないものを積極的に捨て去っていくアプローチだと考えられます。