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2023/12/20

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分析

奥様の評価が上がる収納術 その2

この記事を書いた人

日本ビルダーズ / コンサルタント

望月友晴

(株)大日本印刷に入社し、3年後に実家の和菓子屋(有)春埜製菓を継承し、代表取締役に就任。その後、平秀信先生に弟子入りし、マーケティングについて学び(株)ノウハウコムを設立、代表取締役に就任。その後廣田康之氏率いる(株)D'Zホールディングスのもとで日本ビルダーズの事務局長として住宅会社のコンサルティング業務に携わっている

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では、もう少し広い視点で、家や収納スペース全体を見て、どのような収納を行うか、その計画を立てるための「整理の基本領域図」についてお話しします。

ここでご紹介するシートは、皆さんにも活用していただきますので、よくお聞きくださいね。

整理を進めるために、どのようにスペースを配分していくか、全体を俯瞰してみることが重要です。

これまで不要な物を個別の視点で判断していましたが、今回はライフスタイルや物の使い方など、全体像を見ていきます。

いくつかのパターンがありますので、省スペースで収納するには、どのパターンの基本領域図が適しているかを後半でお伝えしていきます。

それでは、基本領域図について詳しくお話ししていきましょう。

整理の基本領域図についてお話します。

基本領域図というと、少し難しい印象があるかもしれませんが、イメージとしては、会社のキャッシュフロー表のようなものです。

整理では、「区別する」ということが重要でしたが、モノがどの場所に所属しているのかを区別し、全体の総量を把握していきます。

領域図は、4つの領域に分かれており、それぞれ、アクティブ領域、スタンバイ領域、プロパティ領域、スクラップ領域が存在します。

右側はあるご家庭の下駄箱の中身を出した写真です。

左上のアクティブ領域は、よく使う・毎日使うモノが収められています。

左下のスタンバイ領域では、いつか必ず使うであろうモノが待機しており、冠婚葬祭のアイテムや雨の日のレインブーツなどがここに該当します。

右上のプロパティ領域は、現在は使っていないが将来的に使用する可能性のある領域で、新品やストックしておくアイテムが収められています。ご家庭によって内容が異なります。

右下がスクラップ領域で、壊れているモノや修理して再利用できるもの、下駄箱に置くべきでないアイテムなどがこちらに分類されます。

まずは、アクティブ領域についてお話しします。

アクティブ領域は、ヒトとモノとの関係が最も活性化している領域と言えます。

これは「毎日使う」「これからもずっと使う」といった、親友のような関係にあるモノたちを指します。

例えば、クローゼットではお気に入りのジーパンやスカート、キッチンではフライパンや菜箸、シューズクローゼットでは毎日履いているスニーカーやパンプスなどが該当します。

毎日使うものだけでなく、週に何回かローテーションで使っているものや、週1回の習い事で使用するアイテムもこれに含まれます。

アクティブ領域の量を基準に、その他の領域においてもどのくらいの量やモノがあるのかを考えながら、次に進んでいきましょう。 

スタンバイ領域は、モノが待機していて、すぐに使える状態を指します。

具体的な例としては、頻度は高くないが、たまにしか着ないよそ行きのブラウスや、お出かけの際に使用する靴、クッキーを作る際のクッキー型などが挙げられます。

収納の中には、すぐには使わないけれど使いたいと思ったときにすぐに利用できるようにしておくモノが、案外多く存在します。

文房具の中にも、水性のカラーペン、毛筆ペン、マーカーなどが含まれるかもしれませんね。

他にも、自分の持ち物で思い当たるものはありますか?

例えば、今カバンに入っているアイテムの中にも、スタンバイ領域に該当するものがあるかもしれませんね。一度確認してみてください。スタンバイ領域は、すぐに利用できるように待機させているモノと理解しておきましょう。

次にプロパティ領域ですが、やや抽象的な概念かもしれません。プロパティ領域は、すぐには使用できない形で所有しているモノを指します。

例えば、子供用に大きいサイズを購入してある新品の靴、開封していない新しい下着、イベントでもらった未開封の新品キッチングッズなどがこれに該当します。

予想以上に、イベントでもらったキッチングッズを所有している方は多いと考えられます。例えば、新聞屋さんからもらったしゃもじ、お祝い用のお箸、新品のトングなど、そういったアイテムです。また、親戚からもらってそのまま取ってあるというのも、結構一般的なことですね。鍋掴みもよく贈られますね。

こうしたモノは所有しているものの、すぐには活用できない状態にあることをプロパティと呼んでいます。

最後にスクラップ領域についてお話します。

こちらは簡単に言えば、もはや使えなくなった、いわばゴミの領域です。

案外、ごみを捨てるのが難しい方や、壊れているけどなかなか手放せない方が多いのではないでしょうか?

特にパソコンや家電製品、大型家具は、処分にはお金もかかり、なかなか手続きも煩わしいですよね。

こういったモノが増えると、スペースを圧迫し、かなり無駄が生じてしまいます。

理解していても捨てることができない…。こういった心情がこのスクラップ領域の特徴と言えるでしょう。

それぞれの領域について理解が深まったところで、一度皆さんの状況を考えてみましょう。

現在、どの領域が多いと感じましたか?

また、それぞれの領域を説明しているうちに、思い出したものはありましたか?

クローゼットを例に挙げると、今季着ている洋服はアクティブ領域ですね。

次シーズンのためにしまってある服はスタンバイ。

冠婚葬祭のスーツはどうでしょうか?これはスタンバイですね。

新品のストッキングはプロパティ。

今は着ていない毛皮のコート…これは、個人によりますが、どうでしょうか?

サイズアウトした子供の服…これはもう誰も着ないので、自分や家族にとってはスクラップ領域ですね。

こうして、ひとつひとつ当てはめていくと、自分の持ち物がどの領域に多く属するか、段々と明らかになってきます。

この後のワークシートに持ち物を記載して判断するシートがありますので、ぜひお試しください。

それでは、スッキリ暮らすためにどの領域図がおすすめなのか、ということを考えていきましょう。

一般的に、持ち物が少ない人やミニマリストに多い傾向のタイプは、アクティブ領域が広いです。

今使っているものが大半を占め、常に使わないものは厳選されています。

ストック品や買い置きのモノも余計なものを買い過ぎず、必要最低限にとどめています。

また、スクラップ領域のゴミは少なく、既に捨てる予定が立っている状態です。

これはある程度極端な例かもしれませんが、ミニマリストの実態はおおよそこんな感じではないでしょうか。

もっと具体的に見ていきましょう。

アクティブ領域には、毎日使うお気に入りのアイテムが大半を占めています。

冠婚葬祭などの特別な行事に使うものがスタンバイ領域に入ります。

プロパティ領域には、必要最低限のストック品が収められます。

スクラップ領域には、捨てる日が決まっているゴミがわずかに入ります。

このような状態です。

家を建てる際、引っ越し前にこの領域図の量を調整し、新居に適した形で整理収納を行うことが有利です。

整理収納を前向きに進めることで、建築プロセスがスムーズに進むでしょう。

次のページでは、ワークシートをご紹介します。

お客様には、例えば、自宅のシュークローゼットを想像して、靴の種類をリストアップしていただきましょう。

どの領域が多く、どこが少ないのか、アクティブ領域を増やすためにできることはないかアドバイスいたします。

これにより、少ないスペースでも効率的に収納ができる状態になります。

このシートの目的は、お客様の収納に関する懸念事項を解消することと、営業トークを組み込むことです。

今までの考えを踏まえた上で、更に具体的なお話をいたします。

整理収納を進める上で、5つの基本原則があります。これまでさまざまなアプローチが存在しますが、これにプラスして…となると、情報が複雑になりがちですが、おそらくこれまでに聞いたことがあるかもしれません。ですので、リラックスしてお聞きください。

まず最初に、モノの適正な量を定めることが重要です。

モノを減らす前に、家中にあるモノの適正な量を確定させることが大切です。

特に収納スペースが限られている場合に特におすすめです。

これは、全体のタンスに収まるハンガーの数や、収納ボックスの容量を考慮し、各目的のモノの数を具体的に設定することです。

例えば、夏物のトップスは5枚、冬物のトップスは5枚、ボトムスは5枚(普段着2枚、仕事着2枚、お出かけ1枚)などです。

1枚買うごとに1枚処分するといった方針を決めておくと、無駄な買い物が減るためおすすめです。

次に、家全体の収納において意識すべきポイントとして、動作や動線に合わせた収納があります。

動作に関して、皆さんは「スーパーのゴールデンゾーン」について聞いたことがあるでしょうか?

腰より少し下のゾーンが一番売上が上がるとされています。これは、人の目線が届きやすく、手に取りやすいからだと言われています。

整理収納においても、中段が取り出しやすく、次に上段、最後に下段という順番が効果的です。どの段に何を配置するかは収納の重要なポイントです。

一方で、中段が取り出しやすい一方で、裏返すと散らかりやすいポイントにもなります。手に取りやすいため、散らかりやすくなります。

動線については、生活動線に合わせた収納配置が重要です。アクションを減らすことが肝要です。例えば、洗濯機で取り出した服をベランダで干して、同じ場所でアイロンがけできるのと、アイロンを収納する場所が別々だと、散らかりやすさが変わります。

使用頻度を考慮し、その頻度にふさわしい場所に収納することも重要です。

使用頻度の低いアイテムについては、住宅内の階段下や床下、その他の収納スペースを上手に利用して整理しましょう。これらの収納スペースを確保するために、事前に相談することもおすすめです。

一方で、使用頻度の高いアイテムは、棚や引き出しに、使用頻度の低いものは住宅内の収納スペースに移動させましょう。

「グルーピング」という手法についてもご紹介しましょう。

「グルーピング」とは、特定の目的のために、関連するアイテムを一緒にまとめて収納する手法です。

例えば、朝食セットとして、冷蔵庫の中にかごを置いて、朝食で使用するアイテムを一括でまとめるなどが挙げられます。

また、玄関にかごを置いて、みとめ印やペンなどをまとめておくこともできます。これは宅急便のセットとしても利用できるでしょう。

最後に「定位置管理」です。

これは、非常に重要なアプローチです。

アイテムに住所を割り当て、明確な定位置を設定し、家族全員がそれを理解しているということです。

家族全員が認識していると、使用したら元の場所に戻すことが自然となり、整然とした状態を維持できます。

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